Product Manager って?

会社によっては、Product Marketing、Product Line Managerともいうけど、どれもまあほぼ同義。そもそもProduct Managerってどんな仕事か?

一言でいうならば、製品を生み出す以前のアイデアを生み出すところから最後看取るまで、その製品に関することすべてに携わり、統括するポジション。

 

どういうことか端的にまとめると・・・

  1. まずターゲットとしているマーケットに存在する、多々ある問題を認識・プライオリティ付けをして、その問題を解決するためのコンセプト/アイデアを生み出す
  2. そのマーケットや競合の状況をTop downとBottom upの両側面から分析して、自分のコンセプト・アイデアをベースに向こう3年位の製品のロードマップを作り、
  3. それがビジネスとしてちゃんと黒字化できることを財務的にも証明し、
  4. それが承認されたらそれに基づいて事細かにすべての仕様を作り、また競合分析の詳細もドキュメントに纏めて
  5. その仕様を元にエンジニアリングチームとデザイン・実装までの協議を重ね、それと平行して予算を取ってきて、それらがすべて決まったらエンジニアリングチームが実際に物を作り、
  6. 8割ぐらい出来上がったタイミングで、今度はEFT(Early Field Trialの略、いわゆるベータ版の客先テスト)プログラムを作って、実際にベータテストをしてもらいつつ、
  7. 今度はマーケターとして実際の製品のリリースプラン(最終的な価格決め、向こう15ヶ月の型番レベルの詳細なManufacturing Forecast、データシートなどの必要なドキュメント、ポータルサイトの作成、イベントの企画・デザイン、PR/AR、広告、セールスチーム向けのプレゼンテーション、社内向けトレーニングなどなど)を策定・実行して、
  8. 製品がリリースされたら、今度は普及活動のため、Evangelistとして世界中を飛び回り、様々な国のお客さんやパートナーと話をして実際のDealへとつながるように各国の営業チームを支援する。
  9. その時に、更なる未来への仕込みのため、平行して水面下で将来のことについてもいろいろと協議を進めて、ロードマップの調整やさらに向こう5年ぐらいのビジョンを作り出す。(そして1. へと戻るw)
  10. また製品のライフサイクルの面倒も見るので、リリースしてからEoS(End of Sales)まで毎月の売り上げを見ながら、ForecastをManufacturingチームと調整して行き、
  11. 戦略や売り上げ等を鑑みながら、Obsoleteした製品に関しては、EoSさせる方向でMigrationプログラムを策定・実行する

    などなど・・・

いやー、端的にまとまったwww 

これらに加えて、お客様のExecutiveとのBriefing、他の製品との調整、この流れには入らない作業、などなどがあり、それらも結構ヘビーだったりするので、侮れない・・・ :)

 

そしてなにより通常1人のProduct Managerが、複数の製品を担当するのが常なので、間違えなくてんやわんやになるw というのは、複数の製品を担当する、ということは上記にあげたプロセスが、複数並行して走るということに他ならず、Evangelizeな活動をしている最中に、別製品の仕様決めを行いながら、Obsoleteした製品のMigrationプログラムについて決めていったりすることが日常になってくるw なので、自分のやっていることにプライオリティをつけて、ある程度切り捨てることが出来ないとこのポジションは務まらない。

 

また特に悩ましく大変なのは、営業チームは彼らの売り上げに貢献するような機能がほしいので、Product Managerのロードマップにそれら機能が乗っかるように、あの手この手でProduct Managerに要求してくる。で、Product Managerはビジネス的な(数字的な)見地、または戦略的な見地から、要求を取捨選択しなくてはならないのだけど、Product Manager1人に対して、営業チームは世界中に散らばっているので、正直時差なんて関係なくなってくる。だって、世界のどこかではお日様が昇ってるから・・・w 

そして本音を言えば、すべての機能を実装してあげたいのだけど、リソースは有限なので、この機能の取捨選択の作業に個人的には結構な時間を割く。

 

これらを遂行するに当たり、Product Managerとしてまず一番重要なのは、決断して行動し物事を前へ推進する能力。(そのために自分の製品に関しては、Product Managerは責任とともにかなりの権限を保持している)

そしてそれを円滑に行うためには社内外問わず多種多様な交渉が必須のため、語学はもちろんのこと、様々な国での交渉能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力、マーケットのトレンドを技術的に俯瞰して理解する能力、そして何よりそれらを支えるための土台となる基礎技術などなどが求められる。

自分が本当に恵まれていたのは、この基礎技術をCisco Japanにいたときに、諸先輩方にみっちりと鍛えていただいた。この部分に関してはまた別のタイミングでもう少し詳細に書きたいと思うけど、でも1つ言えるのは、あの時あの先輩方に会って一緒に仕事をしながら、鍛えてもらっていなかったら、今の自分はここにはいなかったと断言できる。

 

だから今こうして振り返っても、日本で仕事をした3年間は本当に重要な3年間だった。

 

というのが、Product Managerのざっくりとした仕事内容。

個人的に将来やりたいことを実現するために、最短でいろいろと学べる今の自分にとって最適なポジションだと思う。