アメリカ企業のReqの種類

以前”キッカケ”というタイトルの記事で少し触れたアメリカ企業のReq(Requisition)について、もう少し詳しく書いてみる。

 

Reqというのはいわゆる空きヘッドカウントのことを指す。すなわち、「1つReqを持っている」というのは、今うちのチームに1つ採用枠があって人を募集している、と解釈される。

 

少しわかりやすくするため、以下にReqの種類についてざっくりまとめてみた。(会社によって差異はあるけど、大枠同じだと思う。)

 

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恐らくこれをみてもらえたら、もう説明する必要はないと思うけど・・・。一応少し補足と、重要なポイントを1点ほど。

 

まずは日本や他の国と全く同様に、Reqには大きく3つある。1つは正社員、もう1つは派遣、そして最後はインターンとなる。

 

そして正社員のReqは大きく2つにカテゴリーに分類される。それは、InternalかExternalか、という点である。これは、そのままの解釈通り、社内の人材からのみ採用可能なReqか、もしくは社外の人材も対象になるReqなのか、ということである。

 

そしてもう1つ忘れてはならないのが、そのReqがInternational ReqかLocal Reqか、という点である。

 

自分がアメリカで採用された時には、マネージャーはLocal Reqしかもっておらず、それを無理やりInternational Reqへと変換して進めてくれたので、色々と予算の面でのちにやりくりをしなくてはならないことがあった。

 

ではそもそもLocal ReqやInternational Reqとは何か?なぜ、自分のマネージャーはそのような手段をとったのか?Reqの違いや特徴について少しまとめる。

 

  • International Req (アメリカへの移住有りの場合)
    先ほど描いたマインドマップを見てもらえると容易に推察できると思うけど、このReqがOpenになるということは、そうそう無い。というのは、このポジンションをOpenにするにあたって、Hiring Manager(すなわち雇用する側のマネージャー)は、かなり厳格且つ徹底的に、国外から人材を採用しなくてはならない理由を明確化してビジネスケースを作り、HRやボスたちを納得させなくてはならないため、ハードルが非常に高い。
    それもこれもこのReq、予算が通常のものとは桁違いなので、採用計画がより一層厳格になる。(またビザを申請する際、同じような事をアメリカ政府からも質問される。というのは、同じ仕事を出来る人間が国内にいるのであれば、国内雇用保護の観点から国内の人材を採用すればいいとして、ビザを発給しないため。)

    ということは、このReqをOpenするには、Hiring Managerが真剣に、
    「彼 / 彼女を雇いたい!」
    「彼 / 彼女のXな経験・能力が、うちのチームに必要不可欠で、彼らを雇うことは結果部署全体にもPositiveに働く」
    などなどを心から思え、且つ完全に明確化出来ることが大前提となるため、場合によっては双方の合意がとれてから、ReqをOpenすることも稀ではない。
    もしくは自分のケースのように、最初Local ReqとしてポジションをOpenしていたけど、なかなか決まらず、国外にそのポジションに合う人材がいた場合に、Local ReqをInternational Reqへと切り替えて、その人材を採用するパターンのどちらかである。(この場合はビジネスケースの証明が楽になる。)

    なので、前回の”アメリカで働く為のパス” という記事で述べた、
    「もし転籍を狙うんだったら、自分が世界で戦える武器、もしくはHiring Managerから、「君が必要だ」と指名買いをしてもらえるようにならなくてはならない。」
    というのは、そういったロジックから来ている。

    ただし、冒頭に”(アメリカへの移住有りの場合)”と書いた通り、もし、BUが国外の人間を雇用するが、その人間は現地に留まる、という採用方式を選択した場合は、予算の厳しさという面では、移住有りと比べてかなり緩和されるため、採用へのハードルが少し低くなる。

  • Local Req
    基本的に国内現地採用の雇用枠なので、もし採用したい人材が他の州に住んでいる場合、自分の場所に呼び寄せるか、リモートから働いてもらうか?などのポリシー決めはHiring Managerと相手次第でほぼほぼ決められる。そしてその内容に応じて予算が多少変動する。
    このReqで重要なことは、いかに素早くそのポジションを埋めるか、ということである。というのは、やはりシリコンバレーでは人材の流動性が非常に高く、いい人材はすぐに移っていくので、早め早めにいい人材を確保をしないと、中期的に見て競争力を失っていってしまうため。

以上がざっくりとした補足と重要なポイント。

 

なので、移住も含めた転籍を狙うのであれば、自分の技術やスキルを国内外へ発信して、まずは認めてもらい、名前をBy Nameで認知されること。そしてそれから興味ある先のグループの採用状況を掴んでおいて、もし次回ポジションが空くようなら、自分も候補に入れてほしい旨周知させておくことなどが、常日頃出来る準備の1つだと思う。