シリコンバレーの会社でのキャリアパス

結論から言うと、アメリカの組織で明確なキャリアパス、というのはあるようでいて無い。自分でやりたいことを積極的に追い求めていく過程で、結果論的にポジションが上がっていく、というのが一般的である。

 

前回の話でも少し触れたが、そもそもシリコンバレーの組織では転職が当たり前で終身雇用の概念が無いので、島耕作的発想が一切無いし、受け身でいる人に対して会社もそこまで面倒は見てくれない。
 

もちろん、どの会社もある程度体系だったJob Gradeや役職というのはあるし、成果を上げていけばある程度Gradeは上がっていくけど、長くいれば勝手に上がっていくようなことは決して無い。

むしろ、長くいるのに同じところに留まっている(ポジションと言う意味だけではなく、仕事内容的に同じことの繰り返ししかしない)ことの方が問題になる。
この慣習をアメリカでは一般的に"up or out"と言う。

 

そもそも何年働いているか、何歳か、なんてそんなものは知らないし、関係ない。 唯一無二の絶対的な基準は、どれだけ成果を出せているか?の1点に尽きる。だから若くても実力があれば上がっていく。

 

自分も今までマネージャーをやっていて、おそらくほぼ全員自分よりも年上の人をマネージしている。(ほぼ、というのは、アメリカの履歴書には、年齢、性別、エスニック、など一切履歴書には書かないから、そもそも知らないし、そんな質問を面接等でしたら訴えられる :) )そして、自分よりもGradeの高い人もマネージするケースは多々ある。

 

これは以前も書いたけど、マネージャーだから偉い、というわけでは決して無い。マネージャーは単に職種の1つでしかない。

マネージャーの役目は、ビジネスゴールを設定し、それを達成するためにチームをリードしてその結果に責任を持つことと、チームが働きやすく最大限のパフォーマンスを発揮してもらうために粉骨砕身働くこと、この2つに尽きる。だからチームに仕事を振る以上に自分も仕事をしなくてはならない。アメリカで単なるdispatcherは忌み嫌われる。

 

では具体的にどのようなキャリアパスの可能性があるのか、開発エンジニアをベースに以下に少し書いてみる。(もちろんこれが全てではないけど、主要なパスはカバーされていると思う。)

 

例 : 開発エンジニアの場合(左→右)

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* ここがアメリカの組織で好きなところだけど、エンジニアとして極めていけるパスがきちんと用意されている。だからマネージャーだけが上に上がるパスではない。

 

上記を見たら分かるように、ひとくくりにEngineerのキャリアパスと言っても様々な可能性がある。そしてその道を決めるのは自分でしかない。ただ自ら動いて出した結論に対しては、会社やチームはきちんとサポートしてくれる。ここがシリコンバレーのいいところだと思う。

だからもし今やっている仕事では自分の描いているキャリアが実現できないのであれば、自ら動いてポジションを変わるなり、転職をするなりしたほうがいい。(異動の話は前回の"受け身な異動なんて無い"を見てみてください。)

 

やはりこの街では受け身からは何も生まれない。